硝酸バリウム Ba(NO3)2 (危) (劇)

硝酸バリウムは比較的安定度の高い酸化剤で、打揚煙火用の星には緑炎剤として使用され、アルミニウム粉末、マグネシウム粉末等と配合して照明剤または火花剤の酸化剤に使用される。
 主な性質は次のとおりである。
  1. 硝酸カリウムに比べ水に溶けにくい。これの配合剤は燃焼しがたいため、他の酸化剤(硝酸カリウム、過塩素酸カリウム等を加えて使用する。硝酸バリウムは高温で分解して酸化バリウムの光輝ある白色光を出す。これが照明剤として利用される所以である。また、緑色光を得るためには、炎の中で塩素なまたは塩化水素を発生するような薬品(塩化ビニール、塩化ゴム等)を添加して硝酸バリウム剤を燃焼させる。すると塩化バリウムの緑色炎が発生し、比較的鮮やかな緑色炎が得られる。
  2. アンモニウム粉との配合または接触は、硝酸カリウムのように吸湿性物質を生成するような目立った反応は起こさない。
  3. アルミニウム粉との配合薬は水分を与えておくと発熱の危険がある。
  4. 爆音剤としてアルミニウム粉末と配合すると比較的良い爆音が得られるが、空気中の水分を吸収して爆音薬が固まるため、この固化防止のための物質を混合しない限り、経年変化による不爆の心配がある。またこの爆音薬は常識に反し摩擦感度が鋭敏であって、てん薬作業には十分の注意を要する。特に、三硫化アンチとアルミ粉を加えたものは鋭敏になる。(過塩素酸カリウムとアルミニウム粉の混合薬よりも鋭敏である)