化学物質の爆発安全情報データベース

1 . 3 危険性評価としてのデータ解析

Fig.5にDSCの代表的な測定例を示している。反応の開始温度に対しては、ベースラインとピークの変局点における接線との交点の外挿発熱開始温度(To)、発熱が開始する温度(Ta)とがある。危険性評価としては、一般的には急激な発熱反応が起こるToをTDSC(DTAの場合はTDTA)とする。ただし、DSCあるいはDTAにて得られる反応の開始温度は、装置が非断熱系であるため、実際の状況より50 ~100℃ほど高い温度となることに留意する必要がある。

Fig.5 DSC測定結果例
Fig. 5 DSC測定結果例

また、ベースラインと曲線で囲まれた面積が反応熱量、QDSCである。QDSCに関しては 300J/g未満であれば危険性は小さいとされているが、Table2には発熱反応の評価をまとめている。なお、国連勧告の危険物分類試験において、 QDSCで300J/gを超える物質をクラス4.1の自己反応性物質の対象としている。

Table 2 DSCによる発熱反応の評価
発熱反応 分解熱
/ J (g)-1
断熱温度上昇
/℃
非常に弱い 100 80
弱い~激しい 100~500 80~400
非常に激しい 500~1000 400~800
極端に激しい 1000 800