化学物質の爆発安全情報データベース

4 大量燃焼試験

4.1 試験の日的

 本試験は、粉粒状以外の固体物品の酸化力の潜在的な危険性を判断することを目的とする。

4.2 装置及び器具

(1)点火器具

 「自動車用緊急保安炎筒」(JIS D5711-1982)に規定するものとし、発炎後、炎が安定してから用いるものとする。

(2)円錐カップ
  カップの高さと底面の直径の比が約1:2のもの
 (注)カップの大きさは4.7(1)試験前の準備を参照のこと。

(3)無機質断熱板
  板の厚さが10mm以上であって、0℃における熱伝導率が86cal/m・hr・℃以下のもの

(4)網ふるい
 「標準ふるい」(JIS Z8801-1987)に規定する網ふるいで、次の目開きのもの
  ① 目開き 1.18mm (約14メッシュ)
  ② 目開き 500μm (約30メッシュ)
  ③ 目開き 300μm (約50メッシュ)
  ④ 目開き 250μm (約60メッシュ)
  ⑤ 目開き 150μm (約100メッシュ)

(5)乾燥用シリカゲル入りデシケーター

(6)メスシリンダー

(7)化学はかり

(8)ストップウォッチ
試験器具

4.3 標準物質及び木粉

(1)過塩素酸カリウム
  「過塩素酸カリウム(試薬)」(JIS K8226-1986)特級規格適合品

(2)木粉
   日本杉の辺材から製造したもの

4.4 標準物質及び木粉の調整

(1)過塩素酸カリウム

(2)木粉

4.5 試験物品の調整

(1)原則として、流通している形状のものを試験に供する。
  (注)試験に供するのに不適当な形状の試験物品にあっては、適当な大きさに分割して用いる。

(2)試験物品は、デシケーター中に温度20±5℃で24時間以上保存する。

4.6 試験場所

(1)無風に近い状態の室内または屋外とする。

(2)温度及び湿度は、各試験開始直前直後、各1回測定し、記録する。

4.7 試験方法

(1)試験前の準備
  ア 円錐カップの作成

  (ア)標準物質と木粉の混合物(重量比2:3)及び試験物品と木粉の混合物(体積比1:1)500gの容量(V)をメスシリンダーで確認する。
  (イ)それぞれの容量について、次の式によりCを算出し、適当な厚さの上で円錐カップを作成する。
円錐カップ(展開図)

(注)計算によらなくとも、下記の表より(ア)の容量より大きめのものを選び混合物を充填し、余分の部分を切り取って作成できる。

表1・7 円錐カップ作成表
容量 V (cm3) 270 370 500 639 813 1015 1249 1516
C (cm) 9.0 10.0 11.0 12.0 13.0 14.0 15.0 16.0

(2)過塩素酸カリウムと木粉との混合物の燃焼時間の測定

  ア 燃焼状態の判断及び燃焼時間
  (ア)燃焼状態の判断

(ア)過塩素酸カリウム200gと木扮300gを適当な容器にはかりとり、十分均一となるよう混合する。
(イ)あらかじめ用意した円錐カップに混合物を入れ、無機質断熱板を上に置き、これを逆さにした後、円錐カップを除き、無機質断熱板上に円錐形堆積を作る。
  (注)混合物を円錐カップに入れる際、堆積がくずれない程度に固めること。
(ウ)点火器具を点火し、火炎が安定するまで放置する。
(エ)点火器具の火炎を堆積物の点火位置(円錐形の堆積の基部)に円の全周が着火するまで接触させる。ただし、接触時間は、最大30秒間までとする。  
  (注)30秒以内に着火発炎しない場合は「不燃」とする。
(オ)全周に着火し火炎を生じた場合は、直ちに発炎筒を離して接触を断つ。
(カ)ストップウォッチで燃焼時間を測定し、記録する。
(キ)堆積の残存状態を観察し、木粉が完全に燃焼したことを確認する。
  (注)確認された場合のみ有効な測定値として扱う。
点火直後の状況

  ウ 燃焼時間の算出
   (ア)測定は5回行い、その平均値をもって燃焼時間とする。
   (イ)再試験
     (ア)において5回行い、その平均値の1つでも算出した平均値から±50%の範囲に入らないものがある場合には、あらためて5回測定を行う。

(3)試験物品と木粉との混合物の燃焼時間の測定

  ア 試験物品と木粉が容積比で1:1で合計500gになるように適当な容器にはかりとり、十分均一となるように混合する。
  イ 以下、過塩素酸カリウムの場合と同様の手順で燃焼時間を算出する。
  ウ 追加試験
    5回の試験において、1回でも燃焼時間が測定されなかった場合(「不燃」と判断された場合)は、さらに5回(合計10回)の試験を行い、その結果により、次のように処理する。
   (ア)10回中5回以上燃焼時間が測定された場合には、その平均値を燃焼時間とする。
   (イ)10回中4回以下しか燃焼時間が測定できなかった場合には、「燃焼しない(不燃)」と判断する。
  (注)「不燃」の結果が6回得られた時点で以後の試験を省略し、不燃と判断してさしつかえない。
  (注)標準物質の試験においては、通常5回の測定で有効な燃焼時間が得られる。したがって、再試験等の結果が生じた場合は、試験条件等が規定された条件に適合しているかどうかの確認を行う。

4.8 試験結果の評価

(1)試験物品と木粉との混合物の燃焼時間に応じ、次のとおり評価する。
 ア 過塩素酸カリウムの燃焼時間以下の場合   危険性あり
 イ 過塩素酸カリウムの燃焼時間を超える場合  危険性なし
(2)試験物品と木粉との混合物が「不燃」である場合、危険性なしと評価する。